開催日時 | 2014年8月1日(金) 16:00~ |
開催場所 | 微生物化学研究所(本所) 別館会議室 |
講師 | 河野暢明特任助教 |
所属 | 大阪大学・医学系研究科 |
演題 | ゲノム対称構造からのゲノムデザイン |
概要 | ゲノムに大規模なクローニングを行なう際に問題になるのが複製開始・終結点を軸とした対称構造である.野生型のバクテリア環状染色体にはこの軸を中心に塩基組成,遺伝子そしてオリゴ配列などが方向性を持って配置されているため,この対称構造を破壊した株ではその増殖効率が著しく低下してしまう事が知られている.そこで本研究では対称構造が崩れた枯草菌変異株を用いて,ゲノム対称構造と複製プロセスの関係性を検証し,対称構造を回復させる手法の開発を目指した.対象種には枯草菌を用い,変異株として約1Mbpに及ぶ大規模な逆位株と,ゲノムの一部を第二染色体化した分断株を用いた.各変異株における複製挙動は超並列シーケンサーを用い,ゲノム各位置におけるread coverageから算出した.これらの株を対象に,複製終結関連遺伝子であるrtp遺伝子(大腸菌におけるtus遺伝子)を欠損させる事で対称構造の回復実験を行った.その結果,枯草菌変異株に対して超並列シーケンサーを用いた複製挙動観察により,対称性の乱れは複製挙動の非対称性を導いているという現象を得る事が出来た.さらにrtp遺伝子を欠損させる事で,複製挙動の対称化を促す事に成功した.本発表では各変異株精製から複製挙動観察手法,そしてそれらによって得られた大規模なゲノム改変を保持しながらも対称構造を維持した株の生成方法に関して議論する. 【引用文献】Kono et al., Undesigned Selection for Replication Termination of Bacterial Chromosomes. J Mol Biol., in press, 2014. |
世話人 | 野本明男 滝沢直己 問い合わせ先:知的財産情報部(chizaijoho@bikaken.or.jp) |