沿革(公財)微生物化学研究会について

1957
梅澤濱夫博士(当時国立予防衛生研究所抗生物質部長、東京大学応用微生物研究所教授)らが新しい抗生物質カナマイシンを発見。カナマイシンは当時の耐性菌によって引き起こされる重篤な感染症の治療に著効を示した。
梅澤濱夫博士
1958
カナマイシンがわが国で感染症に対する化学療法剤として発売された。
カナマイシンが米国で発売され、ヨーロッパその他の国々でも広く使用され始めた。
厚生大臣認可により財団法人微生物化学研究会(会長・吉野信次、理事長梅澤濱夫)が設立された。当時の橋本龍伍厚生大臣の計らいにより、カナマイシンの特許収入を基にして本財団の基金に充てることにした。
1962
東京都品川区上大崎に微生物化学研究所が設立された。梅澤濱夫博士を所長として研究活動を開始した。
本館写真
1965
イネいもち病に著効を示すカスガマイシンを発見。カスガマイシンは毒性の低い安全な農薬であることが確かめられた。
1966
研究の拡充を図るため、微生物化学研究所に新館が増設された。
ブレオマイシンが扁平上皮がんに対し臨床治療効果をしめすことが確かめられた。
1968
耐性菌および耐性に関与するプラスミド(核外遺伝子)の分布を調査研究するため、群馬県勢多郡富士見村に支所エピゾーム研究所が設立された。
1969
第6回国際化学療法学会を開催した。
抗菌抗生物質ベカナマイシンが発売された。
制がん抗生物質ブレオマイシンが発売された。
1970
イネいもち病の特効薬としてカスガマイシンが発売された。
抗菌抗生物質ジョサマイシンが発売された。
1971
本会会長に市川篤二博士が選任された。
緑膿菌を含む耐性菌に広く有効なカナマイシンの誘導体(ジベカシン)が合成された。
1974
有機合成研究を充実するため、神奈川県川崎市中原区井田に生物有機化学研究所が設立された。梅澤純夫博士を所長として研究活動を開始した。
日吉写真
1975
抗菌抗生物質ジベカシンが発売された。
1977
微生物化学研究所15周年記念シンポジウムを開催した。
Proceedings: Jap. J. Antibiotics, 30, supplement (1977).
1979
生物有機化学研究所5周年記念シンポジウムを開催した。
Proceedings: Jap. J. Antibiotics, 32, supplement (1979).
1981
制がん抗生物質ペプロマイシンが発売された。
1982
本財団の学術振興への大きな寄与が認められ、寄付行為の一部変更により、厚生・文部両大臣認可の財団法人となった。
シンポジウム"Trends in Antibiotic Research"を開催した。
Proceedings: "Trends in Antibiotic Research", Ed. by H. Umezawa et al., 1982, Japan Antibiotic Research Association.
制がん抗生物質アクラルビシンが発売された。
1985
化学療法や免疫療法の研究のため、静岡県沼津市宮本に実験動物施設ならびに放射能実験設備を有する化学療法研究所が設立された。
沼津写真
1986
創立者梅澤濱夫博士が72才の生涯を閉じた。
梅沢博士はその生涯で、カナマイシン、ブレオマイシン、カスガマイシンなど有用な抗生物質を数多く発見し、人類の健康と福祉の発展に寄与するとともに、医学、生物学、薬学、有機化学など広い学識を駆使して世界の学界をリードし、種々新しい研究領域を開拓した。
1987
本会理事長に竹内富雄博士(常務理事)が選任された。
微生物化学研究所25周年記念シンポジウムを開催した。
Proceedings: "Horizons on Antibiotic Research", Ed. by B. D. Davis et al., 1988, Japan Antibiotic Research Association.
制がん抗生物質ウベニメクス(ベスタチン)が発売された。
1988
故梅澤濱夫博士の業績を物語る品々を保存・展示し、当該知識の普及をはかるため、東京都世田谷区玉川に梅澤濱夫記念館が設立された。
制がん抗生物質ピラルビシンが発売された。
梅沢記念館写真
1989
抗菌動物薬アイブロシンが発売された。
1990
抗菌抗生物質アルベカシンが発売された。
1993
本会会長に梅澤純夫博士が選任された。
1994
研究環境の向上を図るため、会議室および図書室を拡充した微生物化学研究所別館が新館に隣接して設立された。
免疫抑制剤グスペリムス(デオキシスパガリン)が発売された。
新館写真
1996
梅澤濱夫博士を偲ぶ会を行いました。
2000
本会会長に森岡茂夫氏が選任された。
2002
本会会長に山川民夫博士、理事長に野々村禎昭博士が選出された。
山川会長
2003
本会の組織の効率化を図る目的で、研究所の機構改革と名称の変更を行った。微生物化学研究所から微生物化学研究センターに、生物有機化学研究所から日吉創薬化学研究所に、化学療法研究所から沼津創薬医科学研究所に、それぞれ改称された。エピゾーム研究所を閉鎖した。
微生物化学研究センター長に赤松穰博士が選出された。
2004
梅澤濱夫博士生誕90周年記念学術講演会が開催された。
2008
財団法人微生物化学研究会設立50周年記念シンポジウムを開催した。
2010
微生物化学研究センターから微生物化学研究所に改称した。日吉創薬化学研究所を微生物化学研究所日吉支所に、沼津創薬医科学研究所を微生物化学研究所沼津支所に改称した。
理事長、微生物化学研究所・所長(生物系)に野本明男博士が選出された。
常務理事、微生物化学研究所・所長(化学系)に柴崎正勝博士が選出された。
第五代目会長 山川民夫先生のお言葉 「微生物化学研究会と私
新たに、ウイルス研究部、有機合成研究部を立ち上げるのに伴い組織改編を行った。生物活性研究部、ウイルス研究部、沼津支所、動物施設、分子構造解析部、有機合成研究部、日吉支所、知的財産情報部が設置された。
2011
4月1日に公益財団法人微生物化学研究会となった。
ウイルス研究部を廃止し、基盤生物研究部を新設した。
知的財産情報部に資源管理室を新設した。
動物薬ZUPREVO(チルジピロシン)が欧州で発売された。
2012
知的財産情報部に研究協力室を新設した。
動物薬ZUPREVO(チルジピロシン)が米国で発売された。
2014
11月に理事長および所長に柴﨑正勝博士が選出された
2015
5月に新研究棟が完成した。これにともない日吉支所を閉鎖し、組織再編を行った。
新研究棟写真
2017
分子構造解析部を、構造生物研究部と分子構造解析室に再編した。知的財産情報部を改組し、知的財産情報室とした。資源管理室は第2生物活性部へ統合し、研究協力室は事務局へ統合した。また、システム管理部も事務局へ統合した。
当財団の創設者梅澤濱夫博士の業績を顕影し、現在の微生物化学研究会を紹介するために、梅澤濱夫記念館目黒(HUM)を開設した。
2018
3月に弊所が、Nature Index 2018 JAPANで、2012年から2017年の間に、自然科学分野において高品質な科学論文を最も高い割合で発表した我が国の研究機関第一位に選ばれた。
2021
4月に分子構造解析室を分子構造解析部に、知的財産情報室を知的財産情報部に改組した。
2022
4月に所長に清水孝雄博士が選出された。知的財産情報部に情報マネジメント室を新設した。
2024
4月に有機合成研究部と創薬化学研究部を統合し、化学部とした。