生物系研究部構造生物学研究部
研究概要
本研究部は、創薬の標的となりうる生命現象について、構造生物学的手法を用いて分子レベルでのメカニズム解明を行うとともに、その現象を制御する生物活性物質と標的タンパク質との複合体の構造を解析し、より活性の強い薬剤設計のための基礎を作ります。
メンバー
部長(兼任) 清水 孝雄
主任研究員 的場 一晃
上級研究員 丸山 達朗
特任研究員 野田 展生
テクニカルスタッフ 石川 佑季
テクニカルスタッフ 緒方 香織
大学院生 鈴木 昭寛
他テクニカルスタッフ1名
テーマ
テーマ概要
1. 現在取り組んでいる主要なテーマ:オートファジーの分子機構
オートファジーは細胞内の不要物を“オートファゴソーム”と呼ばれる袋状の膜構造体で取り囲み、分解工場である“リソソーム”へと運んで分解、再利用するシステムであり、有害物などを分解することで健康維持に働いています。
オートファゴソームの形成は複雑な膜動態を伴いますが、そのメカニズムは依然よくわかっていません。
2. オートファジーの構造生物学的研究
オートファジーを制御するATGタンパク質の構造を理解することで、オートファジーを理解します。
精製したATGタンパク質を様々な手法を用いて解析することでその立体構造を明らかにするとともに、立体構造情報を活用してオートファジー特異的な制御剤の開発を目指しています。
3. オートファジーの試験管内再構成研究
ATGタンパク質と脂質膜を試験管内で混合し、オートファゴソーム形成過程を再構成(再現)する。巨大リポソームを用いて、それぞれのATGタンパク質の脂質膜上での振る舞いを調べることで、ATGタンパク質の機能を理解し、オートファジーの理解へと繋げます。
4. 様々な薬剤—標的タンパク質複合体の構造解析
薬剤と標的タンパク質の複合体の立体構造を決定し、薬剤の結合様式を明らかにします。
立体構造情報に基づきより効率的に作用する薬剤を合理的に設計し、薬剤改良を進めます。
5. 分析手法は?
核磁気共鳴分光法、X線結晶構造解析、クライオ電子顕微鏡解析などの構造生物学的手法を用い、オートファジーなどの生命現象を分子レベルで明らかにし、作動機構の解明を目指しています。また創薬標的の立体構造を解析することで、より活性の強い薬剤設計のための基礎を作ります。