生物系研究部第1生物活性研究部
研究概要
第1生物活性研究部は、「がん」を主な研究の対象として、がんの特性を利用した治療標的および治療法の開発を目指しています。また、それらの研究成果から実験系を構築し、放線菌やカビなどの培養液から生物活性物質を探索することで新しい抗がん剤の創薬基礎研究を行っています。
メンバー
部長 川田 学
主任研究員 大石 智一(兼任)
主任研究員 和田 俊一
上級研究員 立田 大輔
上級研究員 吉田 潤次郎
研究員 雨宮 昌秀
博士研究員 小髙 愛未
テクニカルスタッフ 栗山 帆波美
テクニカルスタッフ 諏訪 偉珠穂
テクニカルスタッフ 宮澤 知子
他上級研究員1名、研究員1名
テーマ
テーマ概要
1. がん − 間質相互作用を利用したがんの増殖抑制
がんはがん細胞だけでなくいろいろな種類の正常な細胞とで成り立っています。正常な細胞の中でも線維芽様細胞は分泌因子などを介した「がんー間質相互作用」によってがん細胞の増殖や転移を制御しています。私たちは、この相互作用を調節する新しいタイプの抗がん剤の創製を目指して研究しています。
2. EGFRvIIIに依存した3Dースフェロイド形成抑制物質の探索
EGFRvIIIはEGFR(上皮成長因子受容体)のリガンド結合部位の欠失した変異体です(1)。EGFRvIIIは、難治性で悪性の神経膠芽腫などの腫瘍組織で発現が見られます。正常細胞に遺伝子を導入してEGFRvIIIを発現させると、がん細胞の特徴である“足場非依存性”を獲得して低接着プレート上でも3D-細胞塊(スフェロイド)を形成して生育します(2)。正常細胞の足場に依存した通常の(2D)生育を妨げず、EGFRvIII発現細胞の3D-スフェロイド形成を抑制する物質を探索してがん治療薬開発を目指します(3)。
3. 多種がん細胞株を用いた評価系による新しい抗がん剤の探索
がんは患者によって、また発生部位によって異なった性質を示し、それぞれに応じた治療法や治療薬が必要となります。私たちは、様々な患者より提供された多種類のがん細胞株を利用し、研究対象となる薬剤がどのようながんに対して有効なのかを調べています。また、微生物が生産する化合物の中で、正常細胞への毒性が低く、がん細胞にのみ毒性を示すもの、特に、特定のがん細胞に選択的に毒性を示すものの新たな発見を目指しています。